デイドリーム・ビリーバー Daydream Believer 歌詞訳完全版:自慢の彼女がいて夢見る毎日&隠れた意味(RIP Davy)

(Tip)

↑From “official YouTube channel of The Monkees”

―1968 モンキーズ(ソングライター:John Stewart) 
Key Words:起きても夢いっぱいの幸せと…

はじめに

久し振りの投稿です。(少し、仕事のほか、プチ投資などハマってました、その分野の投稿はまたいずれ…)
さて、今日の名曲は、モンキーズ(米)のデイドリーム・ビリーバーです。1968年とかなり古いですが、日本では度々CMに使われているようで、ほとんど聞いたことがある人ばかりではないでしょうか。日本を代表するロックスターの一人だった故人・忌野清志郎さんもカバーしましたが、その日本語歌詞は、原版と大分変えています(というか、正反対にもみえる)。原版の和訳も、ネットでは結構あるようですが、私としてはドンピシャのものがないので、ここに紹介します!(訳してみると、「名曲の読み方」でも触れたような多義的な歌詞の代表格だったので、結果ちょっと力作に)

全訳(基本形)

これまでに紹介した曲では、全訳はダルいのでポイントとなる部分だけ訳したり解説していましたが、今回は、歌詞が短く、それでいて解釈が結構難しく(後述のように奥深いので)全体が見えた方がいいので、全訳してみます。

1) Oh, I could hide ‘neath the wings
Of the bluebird as she sings.
The six o’clock alarm would never ring.
But six rings and I rise,
Wipe the sleep out of my eyes.
My shavin’ razor’s cold and it stings.
朝、彼女の歌の様にさえずるブルーバードの翼の下に隠れてしまいたい
6時のアラームが鳴らなければいいのに
でもそれが鳴って僕は起きる
顔を拭って眠気を覚ます
髭剃りは冷たくてチクチクする

*Cheer up, Sleepy Jean
Oh, what can it mean to a
Daydream believer and a
Homecoming queen?*
さあ、今日も元気出して行こう、まだ眠たいジーン(自分)
寝てようが起きたっておんなじだろ(意味特に変わんない)
自慢の彼女がいて、起きても夢いっぱいの奴なんだから

2) You once thought of me
As a white knight on his steed.
Now you know how happy I can be.
Oh, and our good times start and end
Without dollar one to spend.
But how much, baby, do we really need?
君は最初、僕のことを白馬に乗った王子(騎士)のように見てくれたね
でも今は分かってるだろ、僕の方こそどんなに幸せになれてるかって
あぁ僕らの楽しい日々は、1円も使わなくっても過ぎていく
でもまぁ…実際は必要なお金、どれくらいなんだろうねぇ…ハハ

*~*繰り返し&繰り返し…

(” ”引用元:上記)

ポイント(基本形)

以下は、訳で注意すべきポイントです。

  • 出だしのcouldとかwouldは英語の基本的な構文の1つ仮定法で、「そうであったならいいな」というやつです
  • the bluebird as she sings.の’she’は、最初はbluebird自身のことかと思いましたが、一般に鳥はオスが鳴くのだとしたら、やはり自分の彼女絡みかと。
  • 歌詞の1番は、朝眠いのに仕事とか何とかで義務的に起きなきゃというよくある話で、2番は、大好きな彼女と一緒でどんなに幸せな気持ちでいるかが分かる内容となっています
  • 2番の最後は、ちょっと現実的な話ではありますが、ボーカルの歌い方もここは少し緩んでいるような気がするので、あくまで冗談チックなせりふでしょう(ひとまず)。幸せ一杯を味わうばかりがとにかく先行と。
  • サビはCheer up~の部分で、もう起きて頑張ろうぜ、自慢の大好きな彼女(or奥さん)がそばにいて、起きてる間もどうせ夢いっぱい描くんだから一緒だろ(寝ても起きても夢見てる)ということ。なお、what can it mean…は反語で、それに何の意味・重要性があろうか,ありやしない、ということ。
  • Homecoming queenとは、アメリカ的な言葉で、卒業生も含めた高校の文化祭で地域のミス女王を決めるというようなヤツらしいです。ここでは冠詞がthe(特定)じゃなくa(一般)だし、Homecoming queenと言っていいくらい地域で評判の彼女、または、(自分にとって一番の)自慢の彼女というくらいで(でないと、みんなが感情移入できない)。
  • さらに言うと、ここは聞く人それぞれで変えて考えればいい部分(最後2語で替え歌もし易そう)。大好きな子どもと一緒に色々夢見るとか、好きな勉強で夢見るとか、好きなスポーツで夢見るとか、通りたかった試験に受かって今後の夢見るとか。。。とにかく、自分にとって好きなこと大切な事がそばにあって人生色々想い描く幸せな気分ということ。

基本のさいごに

オフィシャルのビデオが歌詞にすごくマッチしている。みんな楽しげ。特に、この曲を歌っているDavyが途中で踊るシーン、これが、この歌詞の主人公の、踊りたくなるような幸せな気分をよく表している。

…隠されたもう一つの解釈

忌野清志郎さんカバーの歌詞にもつながる解釈かもしれませんが…実は、
“Oh, and our good times start and end
Without dollar one to spend.”
の部分は、
(文脈から普通、お金使わなくても楽しい日々が繰り返すorずっと続く、と読んで終わるところですが、’end’を使っていることに着目し)
僕らの楽しい日々は、1円も使わなくっても、始まり、そして(お金もなくて)やがて終わる
とも読めるわけで、
もちろん、現在形だから主人公はそんは悲観的な将来を話しているわけないのですが、
歌の歌詞としては、そこに将来を暗示させている、と読むわけです。
そうすると、先に冗談チックだと言った部分も、
その後お金やらの現実の厳しさの中で楽しい日々も終わったことの暗示となるのです(do we real..really needと強調してるように聞こえなくもない)。
楽しげに見えたDavyのダンスも実は、この歌の「もう一つの隠れたサビ部分」の切なさを一人一心に踊って体で表しているという事になります(実は笑ってない?し)
…この解釈では、夢見てばかりに楽しかった、あの頃の心持ちを懐かしんで聴く歌、という事になります

原文が英語だと、とにかく正確に文字訳することに注視しがちですが、日本語に「機微」(表面からはとらえにくい微妙な事情や趣)という言葉があるように、訳した上で、英語でも行間を読むような解釈は十分あり得るのです。
…機微という言葉を使えば、こちらの解釈では、夢見るほど楽しい完璧な日々も終りをはらんだりしてる人生の機微、あるいは(夢がkeyの歌であることから)、夢を見て追っていた人生もいつしかそう見なくなる人生の機微まで感じて聴く歌となります

(ちなみに、終りを迎える向きでの解釈はSMAPが歌ったバージョンで採られています。
SMAP Daydream Believer などで検索してみたらいかが?…一緒に歌ってるのは背丈からDavyでしょうか。私にはサッカーの神様ジーコに見えてしまいましたが)
(なお、竹内まりや&タケカワユキヒデ(ゴダイゴ)♪では基本形で紹介されています… Mariya Takeuchi Daydream Believer

あなたはどちらの解釈を取りますか

この答えは、人それぞれです。同じ人でも、時によって、取る解釈を変えるかもしれません、その人のその時の気持ちにマッチする方の意味で聴けば良いという事です。
あなたが英語教師ならば…、子供相手ならこれから好きなことで夢もって楽しく生きることを素直に伝えればいいし、人生経験豊富な年配者相手なら、人生の機微まで触れる解釈で共感を誘ってみるのもいいかも。
―以上となりますが、全く正反対の意味を読み取れ、どちら(哀・楽)の意味でもメロディが絶妙にマッチし味わって聞ける、実はスんゴい曲なのでした。

追伸(R.I.P Davy)

この投稿作りで調べてるうち、Davyさんが亡くなられていること(-2012)を初めて知りました。Daydream Believer Videoでの僅かなダンスだけですっかり魅せられました。Rest in Peace ご冥福をお祈りします。