God save the Queen われらが女王―イギリス国歌は王様が変ったら…

(Tip)

― 1700 年代以前 作(作詞作曲者不明) 
Key Words:国歌、厳(おごそ)か
 

曲の沿革としては、

18世紀に国歌(National Anthem)と定義づけられ、現在各国で用いられているような国歌の草分け的存在である。多くの国がこのメロディを国歌として演奏していた。

出典:CD「小澤征爾 conducts 世界の国家」付属解説

ということ。(リヒテンシュタイン公国は今も、同じメロディを使っている)

サッカーの国際試合などではEngland*チームの曲として必ず試合前に流れるので(個人競技はOlympicなどでも金メダリスト表彰でしか国歌が流れないのと違うところ)、聞いたことのある人は多いと思う。
そういえば、昨年(2019)日本で開催されたラグビー・ワールドカップ大会でも、Englandチームが快進撃で決勝まで進んで試合数を重ねたので、聞ける機会が多かった。(この大会は、日本の観客が各国国歌を一緒に斉唱して応援する姿が「おもてなし」などと話題にもなったが)

*たとえばサッカー界では、サッカーの母国イギリスの代表権は4つの「地域(country)」(England、Wales、Scotland、Northern Ireland)に与えられている。

さて、曲の内容についてですが、
曲調は、静か、おごそかで、讃美歌のように聴く人の心を和ませてくれる
歌詞も、タイトル「神よ、女王陛下を守りたまえ」(直訳)どおりに、おごそかな趣旨のもの。
「陛下の御代が永らえんことを」”Long to reign over us”のあたりは、日本の国歌・君が代に近い。

では、ラ・マルセイエーズ(La Marseillaise フランス国歌。フランス革命直後の動乱期にできたとされる)や星条旗(The Star-Spangled Banner アメリカ国歌。米英戦争のさなかに作詞されたとされる。)のように、革命や戦争の中で生まれた激しさはないかと思えば、第2節以下の歌詞まで読めば、外敵や反乱から守る戦闘的な意味も持つことが分かる。
“Scatter her enemies, and make them fall”((神が)敵を蹴散らし、屈服させてくれる)、
“From every latent foe, from the assasins blow”((神が)暗殺者や潜む敵から守ってくれる)などと。

…そして、誰もが気になるのが、歌詞はもちろんタイトルまで女王(Queen)としてしまって、次の王様が男性に変ったらどうするの?という素朴な疑問。
―ご心配に及ばず、ということのようだ。

女王ではなく国王が在位している場合は、Queenの代わりにKingを、herの代わりにhimを用いる。

出典:Wikipedia

さすが! かって世界を制覇した大英帝国の権謀術数

※曲情報は God save the Queen などで検索できます。