スーパースター(カーペンターズ)―歌詞:憧れも交錯した多感な季節の記憶
(Tip)
― 1971 Carpenters(ソングライター:Leon Russell / Bonnie Bramlett)
Key Words:遠い昔の片思い
はじめに
カーペンターズの女性ボーカルは、今聴いても無双だと思う。
この曲も、もともと誰かの歌をカバーして歌ったものらしいが、そのボーカル力があってこそ大ヒットにつながったのだろう。
旋律がとても美しく、心に染みる曲。カーペンターズのベスト3本に入るのではないか。
自分としては、このメロディと、透きとおった伸びのある歌声という感覚的なところだけで、十分満足してしまいそう。
そして歌詞は…、音楽のスーパースターと恋に落ちたが、なぜあなたは約束どおりに戻ってきてくれないの?という風な内容。
もちろん、そんな特殊な状況設定に人がそう感情移入するわけではない。
で、別れた後まだhotな時期の話かと思えば、いや、出だしで
Long ago, and oh so far away…(昔、ずっと昔の話…)
出典:カーペンターズ Superstar(拙者訳)
などと、そうとう随分な昔話になっているあたりが、普遍化・共感させてくれる味噌。
結局、スーパースターという設定じたいが、憧れも交錯する多感な恋する季節のsymbolicな比喩みたいなもの…
―おそらく年配者を含めていろんな世代の人が、若い頃の結局はすれ違いに終わった熱き恋物語を思い出すだろう。
以下余談。
カーペンターズは、1970年代の半ばにかけて、日本でも一世を風靡したとされる兄妹グループ。女性ボーカル(ドラマーでもあったようだが)Karenカレンの歌唱力が無双に素晴らしかったので、よい曲も集まってきたのだと思う。別の機会(曲)でぜひ紹介したい作曲家にBurt Bacharachバート・バカラックがいて、彼ならではのセンス(囁く、口遊むような自然体)の曲も、カレンならではの出来栄えで歌い仕上げてみせてくれている(Close to You遥かなる影)。
誰もが残念に思うのは、カレンが早くに逝ってしまったこと。兄のRichardリチャードは、その後も、カレンが歌った映像に合わせて自分も鍵盤を弾き歌うといったコンサートを日本でもやっていたという。
ビートルズのロック調”Ticket To Ride”(涙の乗車券)もバラードに歌い上げてしまうカレンだったから、多くの女性を含めて、そのきれいで清潔感ある歌声で根強い人気が日本であったと思う。
※曲情報は Superstar カーペンターズ 1971年 などで検索できます。