FIFA Anthemアンセム―はサッカー賛歌

(Tale)

― 1994 WCアメリカ大会以降 
Key Words:サッカーの代名詞、サッカー賛歌 

はじめに
1994年サッカーワールドカップ(WC)本大会は、サッカーが自国のメジャースポーツでなく、かつチケット流通ビジネスが盛んなアメリカでの大会ということで、チケットが融通しやすく、アメリカとの航空便が多い日本からは観戦ツアーも多様に組まれ(決勝@LA近郊Rose-Bowl VIP席ツアーなどというのも直前に30万円程で出ていたようだ)、WCとしては廉価で観戦できるビッグチャンスだったと思う。

1994年大会といえば、本大会開催の半年ほど前のアジア最終予選で、日本チームが最終試合でいわゆる「ドーハの悲劇」という、日本のサッカーファン誰もが山頂に達する最後の一歩(one play)で奈落の底に突き落とされた、苦渋を味わった大会である。つまり、本当に最終戦の終りの最後のワンプレーで得点を許してしまい、WC本大会初出場の悲願から予選敗退へと追いやられてしまった。

本大会では、その後ジュビロ磐田にも来たドゥンガ選手が手堅く守備を統率し攻撃ではロマーリオ選手がその抜きん出た能力を爆発させたブラジルチームが、王者の強さで勝ち上がったが、グループリーグ3試合目で敗退ほぼ濃厚だった終盤の閃光一蹴りでネットを揺らしてチームを救い、その後はキレッキレのゴールを重ねていったイタリアチームのバッジョ選手(参考:グルメ L’APE記事)の活躍が印象深い。最後も、PK戦でバッジョが外した時点で幕を閉じた大会となった。

曲について
この曲は、そのアメリカ大会で、選手入場時に流す曲として採用された行進曲で、その曲調が思いのほか広く一般受けし、その後は一気に、サッカー試合全般での公式な選手入場曲、ひいてはFIFA Anthem(賛歌)として、サッカーの代名詞的な曲に定着してしまったもの。(FIFAとは、(仏語) Fédération Internationale de Football Association国際サッカー連盟のこと)

オリジナルでもいくつかの演奏バージョンがある中、後半に女性スキャット、さらに最後に合唱が加わるバージョンが、人間味を感じて心地よい。アンセム(礼拝用合唱曲)と言われるくらいだから、この合唱バージョンがもっとも代表するにふさわしいのだが、最近では、ネットで検索してもなかなかこのバージョンを探し当てられないのが残念。(運よく自分は、サッカー競技時に使う音源用として普及したオリジナルバージョン群を後に手に入れたが)

この曲と、日本サッカーとの関係では、ちょうど、次のWC初出場をかけた1998年フランス大会への、本当に長い死闘となったアジア最終予選(自力突破が消滅し何度も敗退しかけ、監督解任も起こり、最後の3位決定戦の延長でやっと勝ち抜けた。)に臨んだ選手たちの悲壮感漂う入場姿に重なって、多くのサッカーファンにとって感慨深い曲になっていると思う。

その延長線として余談だが、ドーハの悲劇前から当時の日本サーカー復活劇(復活と言うのは、日本サッカーは一度釜本選手らを擁しメキシコ五輪で銅メダルを取った頃の輝きがあったため。)をずっと引っ張ってきたKingカズの、この最終予選辺りで絶頂期の輝きを失いはじめ晴れの本大会メンバーからも外れてしまった悲壮な姿にも、感慨は及ぶだろう。

※曲情報は FIFAアンセム などで検索できます。